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チャチャイ大いに語る

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思い付きでお送りする、おすすめジャズアルバム企画第1弾
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TAKIN'CARE OF BUSINESS/CHARLIE ROUSE(JAZZLAND 919S)
 チャーリーラウズは間違いなく好きなテナーマン10本の指に入る1人だ。しかしこの男、日米問わず非常に損な立場にいると思う。ラウズといえばセロニアスモンクのコンボのテナーマンとして、長年活躍した事で知られるのだけど、いかんせんモンクのグループは前任テナーが悪かった。有名なジョンコルトレーンにジョニーグリフィン、レギュラーではないかも知れんがソニーロリンズもいいレコードを残した。ラウズはそれより後、モンクが音楽家として、一つのピークがすぎてからレギュラーとして加入した事になるのだが、それが悪かった。どーもその音楽的な下降がラウズのせいにされている節が、これまでのジャズ評論にしばしば見受けられるのだ。例えば「モンクは60年代以降、平凡なテナープレイヤー、ラウズと組んだがために、その音楽性を発揮することが難しくなった」とか「ここでもラウズのテナーはモンクの世界を表現するには物足りない」とか。中にははっきり2流と書いたものまである始末だ。この傾向は特にブランド指向というか、これまでの論から新しい見方が出来ずに、同じ評論しかくり返せない日本ではよく目立った意見だ。
 私は正面きって、これらの意見に「アホか?」と述べたい。まずクリントイーストウッドの企画したモンクのドキュメント映画「ストレートノーチェイサー」を観ていただいたら解るが、モンクの低迷は誰のせいでもなくモンクの精神的、または肉体的なもので、誰と仕事して、誰と仕事出来なかったからなんて、簡単な事ではない。そしてこの映画で観られるのはモンクとラウズの絶対的なミュージシャン同士の信頼関係だ。正直もう音楽から逃げる一歩手前のモンクに、根気よく1小節づつコードを確認していくラウズの姿をみて、モンクはこの男と出会ったために10年間音楽家として生き長らえたのではないかと想像する。
 ラウズのテナーは、この当時の他のテナージャイアンツと同じく、一聴して本人と分かる個性がある。全体的にカスれた音色で、特に低音が乾いていて、しかもフルボリュームで鳴らしきっているため異様な迫力がある。しかもこれは手癖かもしれないが、独特のフレーズをもっていて、これは実際に聴いてもらうしかないのだけど、私はこれをラウズ節と名付けている。この素晴らしいテナータイタンの魅力は、絶対に一旦モンクグループから切り離して評価してあげないとダメだと思う。
 前置きが長くなってしまったが、ここで本アルバムの登場だ。これはリバーサイドの別シリーズレーベル、ジャズランドからリリースされた、超がつくほどの典型的なハードバップアルバム。曲目もファンキーなブルーズにバラード、歌物と揃っていて、中でも両面に1曲づつ入ってるアップテンポのナンバーは、この当時のジャズ特有のエネルギーに満ちあふれた快演で、最高にカッコいい。何といってもピアノのウォルタービショップとドラムのアートテイラーというメンバーの力が頼もしいし、トランペットも恐らくラウズと息がぴったりのブルーミッチェルというのが好ましい。このアルバムのリーダーもサイドメンも所謂ジャズジャイアントは1人もいないし、音楽的に何か進歩的な事を演っている訳ではない。しかし、数あるハードバップアルバムの中でも本作は少なくとも、私の中では頭一つ抜けた痛快作である。そしてその中心にラウズのズ太いテナーサウンドがある訳だ。
 ラウズはブルーノートにも1枚だけリーダーアルバムを残していて、タイトルは「ボサノバ バッカナル」。意外にもボサノバ集だ。私は勝手に「ボサノバ バカになる」と呼んでいるんだけど、これがまたラウズ節にピッタリとマッチしていて大好きなアルバムだ。しかしこれ、何で知ってるんだか、ヤーマンの若いメンバー連中が家に遊びに来たら、必ず私のレコード棚からひっぱり出して聴いていく。これをアナログレコードで聴けるのが嬉しいと口を揃えて言っているのだ。若い奴らはいいものを知っているんだ。嬉しい事である。
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